本指針は、医療法第6条の12、医療法施行規則第1条の11第2項、及び厚生労働省から発出された平成19年3月30日付医政0330010、平成26年12月19日付医政地1、平成29年9月21日付医政3等の各種通知を根拠法令として策定している。本指針を示すことで当法人の病院及び介護医療院(以下、当院という。)において応用され活用され、当院の実情にあったマニュアル等の策定につながり、現場で適切な医療関連感染に対する制御体制が確保・充実されることを目的とする。医療関連感染の防止に留意し、あるいは異常発生の際にはその原因の速やかな特定、制圧、終息を図ることは医療・介護の安全対策上、及び患者・利用者サービスの質を保つ上に、極めて重要なものと考えられる。
医療関連感染の発生を未然に防止することと、ひとたび発生した感染症が拡大しないように可及的速やかに制圧、終息を図ることが大切である。そのためには管理者(病院長が介護医療院の管理者を兼務)が積極的に感染制御に関わり、感染制御委員会、ICT(infection control team)などが中心となって、全ての職員に対して組織的な対応と教育・啓蒙活動をしなければならない。
感染制御委員会は管理者の諮問委員会であり、諮問事項は委員会の検討を経て日常業務化される。ICTは感染制御委員会が委嘱する日常業務実践チームであり、委員長(管理者)より一定の権限を委譲され、同時に義務をも課せられて、組織横断的に活動する必要がある。
当院が本指針等に則って当院及びその現場でのおのおのの状況に応じた日常の感染制御業務手順(当院全体及び特定部署の手順)を、簡明かつ具体的に指針・マニュアル等として作成し、その遵守を全職員に周知徹底する。指針の作成に当っては、実践の可能性、科学的合理性、現実的有効性、経済効果などを考慮する。
医療関連感染の発生を未然に防止することと、ひとたび発生した感染症が拡大しないように可及的速やかに制圧、終息を図ることが大切である。そのためには管理者が積極的に感染制御に関わり、「感染制御委員会(以下、ICCという。)」、「感染制御チーム(以下、ICTという。)」などが中心となって、総ての職員に対して組織的な対応と教育・啓発活動をしなければならない。
ICCは管理者の諮問委員会であり、検討した諮問事項は管理者に答申され、業務運営会議・ICC・ICT、あるいは医療安全管理委員会・SMTでの検討を経て、日常業務化される。
ICTは管理者の直接的管理下にある日常業務実践チームであり、管理者より一定の権限を委譲され、同時に義務をも課せられて、組織横断的に活動する必要がある。具体的業務内容は、当院に適した形でマニュアル等に明記する。
発生した医療関連感染症が、正常範囲の発生か、アウトブレイクあるいは異常発生かの判断がつきにくいときは、「長崎感染制御ネットワーク事務局TEL:095-819-7731」、あるいは「佐世保市保健福祉部感染症対策課TEL:0956-24-1111」に相談する。
医療従事者に対する研修(以下、職員教育という。)には、①就職時の初期研修、②就職後定期的におこなう継続研修、③ラウンド等による個別指導の3つがある。更に、学会、研究会、講習会など、院外でおこなわれる定期的、あるいは、臨時の院外研修がある。
日常的に当院における感染症の発生状況を把握するシステムとして、対象限定サーベイランスを必要に応じて実施し、その結果が感染制御策に生かされていることが望ましい。
アウトブレイクあるいは異常発生は、迅速に特定し、対応する必要がある。また、結核、ウイルス性肝炎、インフルエンザ、疥癬、ノロウイルス、腸管出血性大腸菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)、多剤耐性緑膿菌(MDRP)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、Clostridium difficile、多剤耐性アシネトバクター等の薬剤耐性菌その他等、アウトブレイクの危険性のある微生物の検出状況には常に監視を怠らない注意が必要である。更にまた、アウトブレイクあるいは異常発生が起こった場合には、感染経路や原因を速やかに究明して、効果的な再発防止策を採用、実行する。
本指針に関して、当院ホームページに内容を開示する。
「感染防止及びまん延防止に係る平常時の指針」
本指針に定める全事項の適用範囲は、当会の介護医療院であり平時においても有事に備えて、日々適切、良質かつ統一された感染対策、感染管理等の感染症への対応力の強化、向上と感染症発生時の備えが必要である。
感染症BCPの策定や感染症まん延防止のための研修・訓練の実施等、平時からの基本的な感染対策について、引き続き厚生労働省の教材等を参考にして取組を継続すること。
環境の整備、排泄物の処理、血液・体液の処理等について、次のとおり定める。
施設内の環境の清潔を保つため、以下の事項を徹底する。
排泄物の処理については、以下の2点を徹底すること
職員への感染を防ぐため、利用者(入所者)の血液・体液の取り扱いについては、以下の事項を徹底すること。
標準的な予防策(standard precautions)として、重要項目と徹底すべき具体的な対策については、以下のとおりとする。
<重要項目>
①適切な手洗い
②適切な防護用具の使用
③患者・利用者のケアに使用した器材などの取り扱い
④血液媒介病原対策
⑤患者数(利用者数)配置
<具体的な対策>
それぞれの具体的方法については以下のとおり
排泄物等の汚染が考えられる場合には、流水による手洗いを行う。
手洗いの方法を別添の通りとする
<手洗いにおける注意事項>
<禁止すべき手洗い方法>
洗浄法:キレイキレイを手にとりよく泡だてながら洗浄する(30秒以上)さらに流水で洗い、ペーパータオルで拭き取る
擦式法:アルコール含有消毒剤を手に取り、指先をはじめ手の全表面をくまなく両手で手が乾くまで15秒以上擦り込む
食事介助の際には、以下の事項を徹底すること。
医療処置を行う者は、以下の事項を徹底すること。
<注意すべき症状>
主な症状 | 要注意のサイン |
---|---|
発熱 | ・ぐったりとしている、意識がはっきりしない、呼吸がおかしいなど全身状態が悪い ・発熱以外に、嘔吐や下痢などの症状が激しい |
嘔吐 |
・発熱、腹痛、下痢もあり、便に血が混じることもある ・発熱し、体に赤い発疹も出ている ・発熱し、意識がはっきりしていない |
下痢 |
・便に血が混じっている ・尿が少ない、口が乾いている |
咳、咽頭痛、鼻水 | ・熱があり、痰のからんだ咳がひどい |
発疹(皮膚の異常) | ・牡蠣殻状の厚い鱗屑が、体幹、四肢の関節の外側、骨の突出した部分など、圧迫や摩擦が起こりやすいところに多く見られる。非常に強いかゆみがある場合、全くかゆみを伴わない場合もある。 |
感染症や食中毒が発生した場合や、それが疑われる場合には、以下の手順に従って報告すること。
職員は感染症若くは食中毒が発生したとき、又はそれが疑われる状況が生じたときは、拡大を防止するために速やかに以下の事項に従って対応すること。
感染症若くは食中毒が発生した場合は、以下の関係機関に報告をして対応を相談し、指示を仰ぐなど、緊密に連携をとること。
医師は、感染症若くは食中毒の発生、又はそれが疑われる状況の発生について報告を受けた際には、感染症の重篤化を防ぐため、症状に応じた医療処置を速やかに行うとともに、職員に対して必要な指示を出すこと。
また、診療後には、佐世保市保健所へ報告を行うこと(5.に詳述)
管理者は、次のような場合、別に定める感染症発生状況報告書により、迅速に佐世保市の担当部局に報告するとともに、佐世保市保健所にも対応を相談すること。
<報告が必要な場合>
<報告する内容>
医師が、感染症法又は食品衛生法の届出基準に該当する患者又はその疑いのある者を診断した場合には、これらの報告に基づき佐世保市保健所等への届出を行う必要がある。
当施設は、一定の場合を除き、利用者(入所者)が感染症や既往があっても、原則としてそれを理由にサービス提供を拒否しないこととする。
本指針及び感染症対策に関するマニュアル類等は感染制御委員会・ICT等において定期的に見直し、必要に応じて改訂するものとする。
2024年(令和6年)7月12日
特定医療法人雄博会
千住病院・介護医療院
感染制御委員会、ICT、
医療安全管理委員会、SMT