佐世保の緩和ケア・地域包括ケア病棟、訪問看護ステーション | 特定医療法人雄博会 千住病院

千住病院

雄博会について

医療関連感染 制御策のための指針

第1 医療関連感染の発生の未然防止、発生した際の可及的速やかな制圧、終息

1.「医療関連感染制御策のための指針」

 本指針は、医療法第6条の12、医療法施行規則第1条の11第2項、及び厚生労働省から発出された平成19年3月30日付医政0330010、平成26年12月19日付医政地1、平成29年9月21日付医政3等の各種通知を根拠法令として策定している。本指針を示すことで当法人の病院及び介護医療院(以下、当院という。)において応用され活用され、当院の実情にあったマニュアル等の策定につながり、現場で適切な医療関連感染に対する制御体制が確保・充実されることを目的とする。医療関連感染の防止に留意し、あるいは異常発生の際にはその原因の速やかな特定、制圧、終息を図ることは医療・介護の安全対策上、及び患者・利用者サービスの質を保つ上に、極めて重要なものと考えられる。

  1. 基本的考え方
  2.  医療関連感染の発生を未然に防止することと、ひとたび発生した感染症が拡大しないように可及的速やかに制圧、終息を図ることが大切である。そのためには管理者(病院長が介護医療院の管理者を兼務)が積極的に感染制御に関わり、感染制御委員会、ICT(infection control team)などが中心となって、全ての職員に対して組織的な対応と教育・啓蒙活動をしなければならない。 感染制御委員会は管理者の諮問委員会であり、諮問事項は委員会の検討を経て日常業務化される。ICTは感染制御委員会が委嘱する日常業務実践チームであり、委員長(管理者)より一定の権限を委譲され、同時に義務をも課せられて、組織横断的に活動する必要がある。

  3. 感染制御策のための指針の策定
  4.  当院が本指針等に則って当院及びその現場でのおのおのの状況に応じた日常の感染制御業務手順(当院全体及び特定部署の手順)を、簡明かつ具体的に指針・マニュアル等として作成し、その遵守を全職員に周知徹底する。指針の作成に当っては、実践の可能性、科学的合理性、現実的有効性、経済効果などを考慮する。

    1. 責任者、指揮系統が明記され、当院全体で活用できるマニュアル等を作成し、必要に応じて部署・部門ごとの特異的対策を盛り込んで整備する。少なくとも年に1回は定期的に見直しをおこない、必要に応じて更新していく。
    2. 効率よく患者・利用者や医療・介護従事者への感染制御策を実施するためには、マニュアル等を充実させ、可能な限り科学的根拠に基づいた制御策を採用し、経済的にも有効な対策を実施できる手順書とする。
    3. 感染制御に関する基本的考え方および方針を明記する。
    4. 感染制御委員会・ICT、その他当院内の感染制御関連組織に関する基本的事項に記載する。
    5. 当院内の関連組織との相互役割分担および連携などに関する基本事項について記載する。
    6. 感染制御のために医療・介護従事者等に対して行われる研修に関する基本方針を記載する。
    7. 感染症の発生状況の把握、分析、報告に関する基本方針を記載する。
    8. 感染症異常発生時の対応に関する基本方針を記載する。
    9. 患者・利用者等に対する本指針の閲覧、説明に関する基本方針を記載する。
    10. アウトブレイク(集団発生)あるいは異常発生に対する、迅速な特定、制圧対策終息の判定に関して言及する。
    11. その他当院内における感染制御策の推進のために必要な基本方針を記載する。
2.当院内における感染制御のための委員会等の設置と活動基準

 医療関連感染の発生を未然に防止することと、ひとたび発生した感染症が拡大しないように可及的速やかに制圧、終息を図ることが大切である。そのためには管理者が積極的に感染制御に関わり、「感染制御委員会(以下、ICCという。)」、「感染制御チーム(以下、ICTという。)」などが中心となって、総ての職員に対して組織的な対応と教育・啓発活動をしなければならない。 ICCは管理者の諮問委員会であり、検討した諮問事項は管理者に答申され、業務運営会議・ICC・ICT、あるいは医療安全管理委員会・SMTでの検討を経て、日常業務化される。 ICTは管理者の直接的管理下にある日常業務実践チームであり、管理者より一定の権限を委譲され、同時に義務をも課せられて、組織横断的に活動する必要がある。具体的業務内容は、当院に適した形でマニュアル等に明記する。

  1. 管理者の責務
    1. ICCの答申事項に関し、経営会議・業務運営会議・ICT、あるいは医療安全管理委員会・SMTでの検討を経て、必要なICT業務を決定し、日常業務として指定する。
    2. ICCでの感染制御業務に関する検討結果を尊重して、可能な限り当院の方針として日常業務化する。
    3. 経済効果を考慮しつつ、可能な限りICCの要望に応えて必要経費を予算化する。
  2. 感染制御委員会(ICC)に関する基本的事項
    1. 各専門職の代表を構成員として組織する。1ヶ月に1回の定期的会議を持つ。緊急時は必要に応じて臨時会議を開催する。
    2. 管理者の諮問を受けて、感染制御策を検討して答申する。
    3. ICTの報告を受け、その内容を検討した上で、ICTの活動を支援すると共に、必要に応じて、ICTに対して管理者名で改善を促す。
    4. ICTの要請に応じて改善すべき課題を検討し、当院の方針とすべき場合はその旨を管理者に答申する。
    5. 日常業務化された改善策の実施状況を調査し、必要に応じて見直しする。
    6. 個々の日常業務に関する規程(誰がどのようにおこなうか)を定めて、管理者に答申する。
    7. 実施された対策や介入の効果に対する評価を定期的におこない、評価結果を記録、分析し、必要な場合は、さらなる改善策を勧告する。
  3. 感染制御チーム(ICT)に関する基本的事項
    1. 「専任の院内感染管理者」として、適任と判断した者を中心に組織する。ICTの業務は、院内感染対策として職員の健康管理、教育、感染対策相談(コンサルテーション)、発生動向監視(サーベイランス)、対策実施の適正化(レギュレーション)、および介入(インターベンション)をおこなう。
    2. 管理者直属のチームとし、感染制御に関する権限を委譲されると共に責任を持つ。また、ICTは、重要事項を定期的に管理者に報告する義務を有する。
    3. ICTは当院感染対策の実働部隊であり、日常業務としての感染対策を計画立案する。業務内容としては、①サーベイランス、②感染防止技術の普及、③職業感染防止に関すること、④職員教育に関すること、などが柱となる。また、⑤異常感染症発生時やアウトブレイク時の連絡体制や組織的対応のルール策定、さらに、⑥ICTに所属する医師及び薬剤師が中心となり、抗菌薬適正使用に関する介入も重要な業務である。
    4. 可能な限り週に1回以上の頻度で、ICTのうち少なくとも2名以上の参加の上で定期的に当院全棟(腎透析センターを含む)ラウンドをおこなって、①現場の改善に関する介入、②現場の教育・啓発、③アウトブレイクあるいは異常発生(単発の異常感染症を含む)の特定と制圧、④その他に当たる。
      ★注:患者・利用者入退院の動きを考慮して、ラウンドは全棟、最低週1回は必要。
    5. 重要な検討事項、感染症のアウトブレイクあるいは異常発生時及び発生が疑われた際は、その状況及び患者への対応等を、管理者へ報告する。
    6. 異常な感染症が発生した場合は、速やかに発生の原因を究明し、改善策を立案し、実施するために全職員への周知徹底を図る。
    7. ICTは、サーベイランスデータはじめ、さまざまな感染に関する情報を収集し、現場の感染制御対策に役立つように工夫し発信する役割がある。また、収集したデータをわかりやすくまとめ記録していく役割がある。
    8. ラウンドに当たっては、臨床検査科からの報告を活用して感染症患者の発生状況等を点検するとともに、各種の予防策の実施状況やその効果を定期的に評価し、各棟(腎透析センターを含む)における感染制御担当者の活用等により臨床現場への適切な支援をおこなう。
    9. 職員教育(集団教育と個別教育)の企画遂行を積極的におこなう。
  4. その他
  5.    発生した医療関連感染症が、正常範囲の発生か、アウトブレイクあるいは異常発生かの判断がつきにくいときは、「長崎感染制御ネットワーク事務局TEL:095-819-7731」、あるいは「佐世保市保健福祉部感染症対策課TEL:0956-24-1111」に相談する。

3.医療・介護従事者に対する研修(職員教育)の実施

 医療従事者に対する研修(以下、職員教育という。)には、①就職時の初期研修、②就職後定期的におこなう継続研修、③ラウンド等による個別指導の3つがある。更に、学会、研究会、講習会など、院外でおこなわれる定期的、あるいは、臨時の院外研修がある。

  1. 就職時の初期研修は、ICTあるいはそれにかわる十分な実務経験を有する指導者が適切におこなう。
  2. 継続的研修は、年2回程度開催する。また、必要に応じて、臨時の研修をおこなう。これらは、当院の実情に則した内容で、職種横断的に開催する。
  3. 院外研修を、適宜院内研修に代えることも可とする。
  4. 個別研修(指導)あるいは個別の現場介入を、可能な形でおこなう。
  5. これらの諸研修の開催結果、あるいは、院外研修の参加実績を、記録保存する。
4.感染症の発生状況の報告その他に基づいた改善方策等
  1. サーベイランス
  2. 日常的に当院における感染症の発生状況を把握するシステムとして、対象限定サーベイランスを必要に応じて実施し、その結果が感染制御策に生かされていることが望ましい。

    1. カテーテル関連血流感染、手術部位感染、人工呼吸器関連肺炎、尿路感染、その他の対象限定サーベイランスを可能な範囲で実施する。
    2. 本邦におけるサーベイランスの手法は、厚生労働省院内感染対策サーベイランス (JANIS)システムがあり参加することが望ましい。
  3. アウトブレイクあるいは異常発生の監視・把握と対応
  4.  アウトブレイクあるいは異常発生は、迅速に特定し、対応する必要がある。また、結核、ウイルス性肝炎、インフルエンザ、疥癬、ノロウイルス、腸管出血性大腸菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)、多剤耐性緑膿菌(MDRP)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、Clostridium difficile、多剤耐性アシネトバクター等の薬剤耐性菌その他等、アウトブレイクの危険性のある微生物の検出状況には常に監視を怠らない注意が必要である。更にまた、アウトブレイクあるいは異常発生が起こった場合には、感染経路や原因を速やかに究明して、効果的な再発防止策を採用、実行する。

    1. 同一医療機関内又は同一病棟内あるいは介護医療院内で同一菌種(多剤耐性菌によるものを想定)によるアウトブレイクが疑われる場合、ICC又はICTによる会議を開催し、速やかに必要な疫学的調査を開始するとともに厳重な感染対策を実施すること。この疫学的調査の開始及び感染対策の実施は、アウトブレイクの把握から1週間を超えないことが望ましい。
    2. アウトブレイクを疑う基準としては、1例目の発見から4週間以内に同一病棟において新規に同一菌種による感染症の発病症例が計3例以上特定された場合、又は院内あるいは介護医療院内で同一菌株と思われる感染症の発病症例が計3例以上特定された場合を基本とする。
    3. カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、多剤耐性緑膿菌(MDRP)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)及び多剤耐性アシネトバクター属の5種類の多剤耐性菌は、1例目の発見をもって、アウトブレイクに準ずる厳重な感染対策をとる。
    4. 当院内でアウトブレイクに対する感染対策を講じた後、当院内で同一菌種による感染症の発病症例が多数にのぼる場合(目安として10症例以上となった場合)、又は因果関係が否定できない死亡者が確認された場合は、佐世保市保健所に速やかに報告する。また、これに満たない場合であっても、当院の判断の下、必要に応じて佐世保市保健所に報告・相談を行う。
    5. 緊急時には感染対策向上加算に係る医療・介護連携体制を活用し、アウトブレイクに対して支援や協力を依頼し沈静化を図る。
    6. 当院は、疫学的にアウトブレイクを把握できるよう、日常的に菌種ごと及び特定の薬剤耐性を示す細菌科ごとにサーベイランスを実施することが望ましい。また、当院は厚生労働省院内感染対策サーベイランス(JANIS)等の全国的なサーベイランスデータと比較し、自施設での多剤耐性菌の分離や多剤耐性菌による感染症の発生が特に他施設に比べて顕著となっていないかを、日常的に把握するよう努めることが望ましい。
    7. アウトブレイクに対する感染対策を実施した後、新たな感染症の発病症例を認めた場合、院内感染対策に不備がある可能性があると判断し、速やかに通常時から協力関係にある感染対策向上加算1の施設基準を有する長崎大学病院・佐世保市総合医療センター等を中核とするネットワークの専門家に、感染拡大の防止に向けた協力と支援を依頼する。
    8. 当院は細菌検査等を業務委託しているので、委託先と緊密な連絡を維持すること。
    9. 当院における薬剤感受性パターン(抗菌薬感受性率表:アンチバイオグラム)を把握しておくことが望ましい。
5.院内感染発生時の対応に関する留意事項
  1. 地域支援
    1. 感染対策向上加算1の施設基準を有する保健医療機関に相談し、支援を求める。
    2. 当院は感染対策向上加算に係る連携体制を強化・充実させ、これを活用する。
  2. 第三者評価
    1. 当院の医療関連感染制御策の質の評価は、感染対策向上加算に係る連携医療機関に第三者評価(外部評価)を依頼する。
    2. 感染対策向上加算に係る連携医療機関による質の評価の審査結果を改善につなげる。
    3. 定期的に院内感染対策に関するWEBカンファレンスに参加する。
  3. 患者・利用者、家族等への情報提供と説明及び同意
    1. 患者本人・利用者本人及び家族等に対して、適切なインフォームドコンセントをおこなう。
    2. 疾病の説明とともに、感染防止の基本についても説明して、理解を得た上で、協力を求める。
    3. 必要に応じて感染率などの情報を公開する。
6.患者・利用者、家族等に対する本指針の閲覧

本指針に関して、当院ホームページに内容を開示する。

第2 感染防止及びまん延防止に係る平常時の対応


 「感染防止及びまん延防止に係る平常時の指針」
 本指針に定める全事項の適用範囲は、当会の介護医療院であり平時においても有事に備えて、日々適切、良質かつ統一された感染対策、感染管理等の感染症への対応力の強化、向上と感染症発生時の備えが必要である。
 感染症BCPの策定や感染症まん延防止のための研修・訓練の実施等、平時からの基本的な感染対策について、引き続き厚生労働省の教材等を参考にして取組を継続すること。

1. 平常時の衛生管理
  1. 施設内(当院内)の衛生管理
  2.  環境の整備、排泄物の処理、血液・体液の処理等について、次のとおり定める。

    1. 環境の整備
    2.  施設内の環境の清潔を保つため、以下の事項を徹底する。

      1. ①整理整頓を心がけ、こまめに清掃を行うこと
      2. ②清掃については、床の消毒は必ずしも必要としないが、1日1回湿式清掃し、乾燥させること。
      3. ③使用した雑巾やモップは、こまめに洗浄、乾燥すること。
      4. ④床に目視しうる血液、分泌物、排泄物などが付着しているときは、手袋を着用し、0.1%の次亜塩素酸ナトリウムで清拭後、湿式清掃して乾燥をさせること。
      5. ⑤トイレなど、利用者(入所者)が触れた設備(ドアノブ、取手など)は0.05%の次亜塩素酸ナトリウムで清拭後、湿式清掃して乾燥させること。
      6. ⑥浴槽のお湯の交換、浴槽の清掃・消毒などはこまめに行うこと。
    3. 排泄物の処理
    4.  排泄物の処理については、以下の2点を徹底すること

      1. ①利用者(入所者)の排泄物・吐しゃ物を処理する際には、手袋やマスクをし、汚染場所及びその周囲を0.1%の次亜塩素酸ナトリウムで清拭し、消毒をすること。
      2. ②処理後は十分な手洗いや手指の消毒を行うこと。
    5. 血液・体液の処理
    6.  職員への感染を防ぐため、利用者(入所者)の血液・体液の取り扱いについては、以下の事項を徹底すること。

      1. ①血液等の汚染物が付着している場合は、手袋を着用してまず清拭除去した上で、適切な消毒液を用いて清拭消毒すること。なお、清拭消毒する前に、まず汚染病原体量を極力減少させておくことが清拭消毒の効果を高めることになるので注意すること。
      2. ②化膿した患部に使ったガーゼなどは、他のごみと別のビニール袋に密閉して、直接触ないように感染性廃棄物とし、分別処理をすること。
      3. ③手袋、帽子、ガウン、覆布(ドレープ)などは、当施設指定の使い捨て製品を使用し、使用後は、汚染処理室で専用のビニール袋や感染性廃棄物容器に密閉した後、焼却処理を行うこと。
  3. 日常のケアに係る感染対策
    1. 標準的な予防策
    2.  標準的な予防策(standard precautions)として、重要項目と徹底すべき具体的な対策については、以下のとおりとする。

      <重要項目>

      ①適切な手洗い

      ②適切な防護用具の使用

      1. 手袋
      2. マスク・アイプロテクション・フェイスシールド
      3. ガウン

      ③患者・利用者のケアに使用した器材などの取り扱い

      1. 鋭利な器具の取り扱い
      2. 廃棄物の取り扱い
      3. 周囲感染対策

      ④血液媒介病原対策

      ⑤患者数(利用者数)配置

      <具体的な対策>

      1. 血液・体液・分泌物・排泄物(便・尿)などに触れるとき
      2. 傷や創傷皮膚に触れる時→手袋を着用し、手袋を外した時には、石けんと流水により手洗いをすること
      3. 血液・体液・分泌物・排泄物(便)などが飛び散り、目、鼻、口を汚染する恐れのあるとき→マスク、必要に応じて(感染対策担当者から指示があったときなど)ゴーグルやフェイスマスクを着用すること
      4. 血液・体液・分泌物・排泄物(便)などで、衣服が汚れる恐れがあるとき→プラスティックエプロン・ガウンを着用すること
      5. 針刺し事故防止のため→注射針のリキャップはせず、感染性廃棄物専用容器へ廃棄すること
      6. 感染性廃棄物の取り扱い→バイオハザードマークに従い、分別・保管・運搬・処理を適切に行う
    3. 手洗いについて
      1. ①手洗い:汚れがあるときは、普通の石けんと流水で手指を洗浄すること
      2. ②手指消毒:感染している利用者(入所者)や、感染しやすい状態にある利用者(入所者)のケアをするときは、洗浄消毒、擦式消毒薬で洗うこと

      それぞれの具体的方法については以下のとおり

      1. 流水による手洗い
        1. 排泄物等の汚染が考えられる場合には、流水による手洗いを行う。
        2. 手洗いの方法を別添の通りとする

        <手洗いにおける注意事項>

        1. まず手を流水で軽く洗う
        2. 石けんを使用するときには、固形石けんではなく、液体石けんを使用する
        3. 手を洗うときは、時計や指輪を外す(勤務中は時計、指輪、携帯等は外し各自のロッカー保管とする)
        4. 爪を短く切っておく
        5. 手洗いが雑になりやすい部位は注意する
        6. 使い捨てのペーパータオルを使用する
        7. 水道栓の開閉は、手首、肘などで行う
        8. 水道栓は洗った手で止めるのではなく、手を拭いたペーパータオルで止める
        9. 手を完全に乾燥させる

        <禁止すべき手洗い方法>

        1. ベースン法(浸漬法、溜まり水)
        2. 共同使用する布タオル
      2. 手指消毒
      3. 洗浄法:キレイキレイを手にとりよく泡だてながら洗浄する(30秒以上)さらに流水で洗い、ペーパータオルで拭き取る

        擦式法:アルコール含有消毒剤を手に取り、指先をはじめ手の全表面をくまなく両手で手が乾くまで15秒以上擦り込む

    4. 食事介助の留意点
    5. 食事介助の際には、以下の事項を徹底すること。

      1. ①介護職員は必ず手洗いを行い、清潔な器具・清潔な食器で提供すること。
      2. ②排泄介助後の食事介助に関しては、食事介助前に十分な手洗いを行い、介護職員が食中毒病原体の媒介者とならないように、注意を払うこと。
      3. ③おしぼりは、使い捨てのものを使用すること。
      4. ④利用者(入所者)が、吸飲みによる水分補給をする場合には、使用都度、洗浄すること。
    6. 排泄介助(おむつ交換を含む)の留意点
      1. ①おむつ交換は、必ず使い捨て手袋を着用して行うこと。
      2. ②使い捨て手袋は、1ケアごとに取り替える。また、手袋を外した際には手洗いを実施すること。
      3. ③おむつ交換の際は、利用者(入所者)一人ごとに手洗いや手指消毒を行うこと。
      4. ④おむつ交換の一斉交換は感染拡大の危険が高くなるので可能な限り避けること。
    7. 医療処置の留意点
    8. 医療処置を行う者は、以下の事項を徹底すること。

      1. ①喀痰吸引の際には、飛沫や接触による感染に注意し、チューブの取り扱いには使い捨て手袋を使用すること。
      2. ②チューブ類は感染リスクが高いので、経管栄養の挿入や胃瘻の留置の際には、特に注意すること。
      3. ③膀胱留置カテーテルを使用している場合、尿を廃棄する時には使い捨て手袋を使用してカテーテルや尿パックを取り扱うこと。また、尿パックの高さに留意し、クリッピングをするなど、逆流させないようにすること。
      4. ④点滴や採血の際には、素手での実施は避け、使い捨て手袋を着用して実施すること。
      5. ⑤採血後の注射針のリキャップはせずに、そのまま針捨てボックスに入れること。
    9. 日常の観察
      1. ①介護職員は、異常の兆候をできるだけ早く発見するために、利用者(入所者)の体の動きや声の調子・大きさ・食欲などについて日常から注意して観察し、以下に掲げる利用者(入所者)の健康状態の異常症状を発見したら、直ちに看護職員や医師に知らせること。
      2. ②医師・看護職員は、栄養摂取や服薬、排泄状況なども含めて全体的なアセスメントをした上で、病気の状態を把握し、状態に応じた適切な対応をとること。

      <注意すべき症状>

      主な症状 要注意のサイン
      発熱 ・ぐったりとしている、意識がはっきりしない、呼吸がおかしいなど全身状態が悪い
      ・発熱以外に、嘔吐や下痢などの症状が激しい
      嘔吐 ・発熱、腹痛、下痢もあり、便に血が混じることもある
      ・発熱し、体に赤い発疹も出ている
      ・発熱し、意識がはっきりしていない
      下痢 ・便に血が混じっている
      ・尿が少ない、口が乾いている
      咳、咽頭痛、鼻水 ・熱があり、痰のからんだ咳がひどい
      発疹(皮膚の異常) ・牡蠣殻状の厚い鱗屑が、体幹、四肢の関節の外側、骨の突出した部分など、圧迫や摩擦が起こりやすいところに多く見られる。非常に強いかゆみがある場合、全くかゆみを伴わない場合もある。

2. 感染症発症時の対応
  1. 感染症の発生状況の把握
  2.  感染症や食中毒が発生した場合や、それが疑われる場合には、以下の手順に従って報告すること。

    1. 職員が利用者(入所者)の健康管理上、感染対策や食中毒を疑ったときは、速やかに利用者(入所者)と職員の症状の有無(発症した日時、階及び居室ごとにまとめる)について管理者に報告をする。
    2. 管理者は(1)について職員から報告を受けた場合、施設内の職員に必要な指示を行うとともに、10.(5)に該当する時はその受診状況と診断名、検査、治療の内容等について別に定める感染症発生報告書によって佐世保市保健所に報告するとともに、関係機関と連携をとること。
  3. 感染拡大防止
  4.  職員は感染症若くは食中毒が発生したとき、又はそれが疑われる状況が生じたときは、拡大を防止するために速やかに以下の事項に従って対応すること。

    1. 介護職員
      1. 発生時は、手洗いや排泄物・嘔吐物の適切な処理を徹底し、職員を媒介して感染を拡大させることのないよう、特に注意を払うこと。
      2. 医師や看護師の指示を仰ぎ、必要に応じて施設内の消毒を行うこと。
      3. 医師や看護師の指示に基づき、必要に応じて感染した利用者(入所者)の隔離などを行うこと。
      4. 別に定めるマニュアルに従い、個別の感染対策を実施すること。
    2. 医師及び看護職員
      1. 感染症若くは食中毒が発生したとき、又はそれが疑われる症状が生じたときは、被害を最小限とするために、職員に適切な指示を出し、速やかに対応すること。
      2. 感染症の病原体で汚染された機械・器具・環境の消毒・滅菌は、適切かつ迅速に行い、汚染拡散を防止すること。
      3. 消毒薬は、対象病原体を考慮した適切な消毒薬を選択すること。
    3. 管理者
    4.  協力病院や佐世保市保健所に相談、技術的な応援を依頼して指示を受けること

  5. 関係機関との連携
  6.  感染症若くは食中毒が発生した場合は、以下の関係機関に報告をして対応を相談し、指示を仰ぐなど、緊密に連携をとること。

    1. 主治医、協力機関の医師
    2. 佐世保市保健所
    3. 地域の中核病院である佐世保市総合医療センターの感染管理担当の医師や看護師
    4. また、必要に応じて次のような情報提供も行うこと。
    5. 職員への周知
    6. 家族等への情報提供と状況の説明
  7. 医療処置
  8.  医師は、感染症若くは食中毒の発生、又はそれが疑われる状況の発生について報告を受けた際には、感染症の重篤化を防ぐため、症状に応じた医療処置を速やかに行うとともに、職員に対して必要な指示を出すこと。
    また、診療後には、佐世保市保健所へ報告を行うこと(5.に詳述)

  9. 行政への報告
    1. 佐世保市等の担当部局への報告
    2.  管理者は、次のような場合、別に定める感染症発生状況報告書により、迅速に佐世保市の担当部局に報告するとともに、佐世保市保健所にも対応を相談すること。

      <報告が必要な場合>

      1. 同一の感染症若くは食中毒による又はそれらによると疑われる死亡者又は重篤患者が1週間以内に2名以上発生した場合
      2. 同一の感染症若くは食中毒の患者又はそれらが疑われる者が10名以上又は全利用者(入所者)の半数以上発生した場合
      3. i.及びii.に該当しない場合であっても、通常の発生動向を上回る感染症等の発生が疑われ、特に施設長が報告を必要と認めた場合

      <報告する内容>

      1. 感染症又は食中毒が疑われる利用者(入所者)の人数
      2. 感染症又は食中毒が疑われる症状
      3. 上記の利用者(入所者)への対応が施設における対応状況等
  10. 佐世保市保健所への届出
  11.  医師が、感染症法又は食品衛生法の届出基準に該当する患者又はその疑いのある者を診断した場合には、これらの報告に基づき佐世保市保健所等への届出を行う必要がある。

3. その他
  1. 利用者(入所者)の感染症について
  2.  当施設は、一定の場合を除き、利用者(入所者)が感染症や既往があっても、原則としてそれを理由にサービス提供を拒否しないこととする。

  3. 指針等の見直し
  4.  本指針及び感染症対策に関するマニュアル類等は感染制御委員会・ICT等において定期的に見直し、必要に応じて改訂するものとする。

2024年(令和6年)7月12日
特定医療法人雄博会
  千住病院・介護医療院
感染制御委員会、ICT、
医療安全管理委員会、SMT

雄博会について